熱田・林桐葉宛書簡

【芭蕉自筆影印】


 尚ゝ(ナオナオ) 大田公 工山丈 御次手之(ツイデノ) 刻(キザミ) 奉頼(タノミタテマツリ)候

大田氏 御奈つ可しく 奉存(ゾンジタテマツリ)候

御約束之 短尺十六枚 唐紙尓書候物三枚 可然(シカルベク) 御見分 被遣可被下(ツカワサレクダサルベク)候

今少も相整(アイトトノエ) 進之(シンジ)度候へ共(?) 何やら可やら 事繁(コトシゲ)く 御無沙汰ニ罷成(マカリナリ)候間 先ゝ あらましニ天 進之候

源七毛 此程ハ 書兼候

漸 壱枚相調候

是和又 重而(カサネテ)相調可申(モウスベク)候

一 御堅固二被(?)成御座(ゴザナサレ)候哉

御子達并 御家来ハ十(ヤソ)奈と 御無事候ニやと存候
                   
拙者 三月節句過早々 松嶋の朧月見尓と於毛比立候

白川 塩竈の桜 御浦(オウラ)やまし可るへく候

欄木良醫師 一傳奉頼(タノミタテマツリ)候

仙臺与利 北陸道 ミのへ出申候(?)而 草臥申候ハゝ(?) 又其元へ 立寄申事毛 可有御座(ゴザアルベク)候

毛者や其元与利 御状被遣(ツカワサレ)ましく候

  二月十五日   者世越

   桐葉子雅丈

 か遣路不能我可肩尓立帋子哉

 紅梅や見ぬ戀作る玉す多れ 

 尚ゝ(ナオナオ) 大田公 工山丈 御次手之(ツイデノ) 刻(キザミ) 奉頼(タノミタテマツリ)候

大田氏 御なつかしく 奉存(ゾンジタテマツリ)候

御約束之 短尺十六枚 唐紙に書候物三枚 可然(シカルベク) 御見分 被遣可被下(ツカワサレクダサルベク)候

今少も相整(アイトトノエ) 進之(シンジ)度候へ共(?) 何やらかやら 事繁(コトシゲ)く 御無沙汰に罷成(マカリナリ)候間 先ゝ あらましにて進之候

源七も 此程は 書兼候

漸 壱枚相調候

是は又 重而(カサネテ)相調可申(モウスベク)候

一 御堅固に被(?)成御座(ゴザナサレ)候哉

御子達并 御家来ハ十(ヤソ)なと 御無事候にやと存候
                   
拙者 三月節句過早々 松嶋の朧月見にとおもひ立候

白川 塩竈の桜 御浦(オウラ)やましかるべく候

欄木良醫師 一傳奉頼(タノミタテマツリ)候

仙台より 北陸道 みのへ出申候(?)而 草臥申候はば(?) 又其元へ 立寄申事も 可有御座(ゴザアルベク)候

もはや其元より 御状被遣(ツカワサレ)ましく候

  二月十五日   はせを

   桐葉子雅丈

 かげろふの我が肩に立紙子哉

 紅梅や見ぬ恋作る玉すだれ

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