江戸・嵐蘭宛書簡

【芭蕉自筆影印】

蚊焼(;嵐蘭俳文の題名)之言葉并(ナラビニ)発句 数返(遍)吟候
折節京去来 俳文集撰(エラビ)候處 内ゝ貴様文章望之由(ノゾミノヨシ)申候故 是を渡し可申と 拙者も大悦ニ存候
愚難之處(グナンノトコロ)書付候
◯夫澤雉(ソレサワチ)ハとある所 下へ云のへやう可ひなく候ニ而 対句を待やうニ而 対句して対なき時の下へ移り無下しやう可有ニや
若(モシ)又能対有之候ハゞ 尤(モットモ)珍重多るへく候
義経盗跖之段 奇文感(関)心不斜候

発句 子や啼ん母や・・・(嵐蘭句)
 
 子や啼無其子のはゝも蚊の喰ワん
          (芭蕉句添削)

山上億(憶)良可哥耳 其子の者ゝも我を待らん と云し俤可為(オモカゲタルベク)候
状数取重(トリカサナリ)候故 被仰越(オウセコサレ)
段ゝ十分一も不御報(ゴホウアタワズ)
以上
十月廿一日    者世越
嵐蘭雅伯


蚊焼(;嵐蘭俳文の題名)之言葉并(ナラビニ)発句 数返(遍)吟候
折節京去来 俳文集撰(エラビ)候処 内ゝ貴様文章望之由(ノゾミノヨシ)申候故 是を渡し可申と 拙者も大悦に存候
愚難之處(グナンノトコロ)書付候
◯夫澤雉(ソレサワチ)はとある所 下へ云のへやうかひなく候に而 対句を待やうに而 対句して対なき時の下へ移り無下しやう可有にや
若(モシ)又能対有之候はゞ 尤(モットモ)珍重たるべく候
義経盗跖之段 奇文感(関)心不斜候

発句 子や啼ん母や・・・(嵐蘭句)
 
 子や啼無其子のはゝも蚊の喰ワん
          (芭蕉句添削)

山上億(憶)良が歌に 其子のはゝも我を待らん と云し俤可為(オモカゲタルベク)候
状数取重(トリカサナリ)候故 被仰越(オウセコサレ)
段ゝ十分一も不御報(ゴホウアタワズ)
以上
十月廿一日    ばせを
嵐蘭雅伯













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