「枯枝に」「世に・・」画賛

【芭蕉自筆影印】

 枯枝尓可らす乃と万里多類や秋乃暮

笠屋とり

坡翁(ハオウ)雲天乃笠濃下丹盤紅海乃蓑を振 無為乃ちま多丹 雨屋とり志給ふ免る西行乃侘笠 哀丹貴し 鶯乃ぬふて婦梅乃花笠盤 老を可くし亭 妹かあ多り能志の飛笠 行過兼て笠やとり ひち笠乃雨丹打そ本津覧 ミ可さと申せ 蓮乃葉能笠 以さき与し 此笠盤是艶なら寸 美なら寸 ひとへ丹山田守捨し案山子(カガシ)乃 風丹破ら禮 雨丹い多免るかことし 笠のあるしも又 風雨を待亭 情盡る而巳(ノミ)

 世にふるは更に宗祇のやどり哉

(枯枝にからすのとまりたるや秋の暮

笠やどり
坡翁(ハオウ)雲天の笠の下には紅海の蓑を振。無為のちまたに、雨やどりし給ふめる西行の侘笠、哀に貴し。鶯のぬふてふ梅の花笠は、老をかくして、妹があたりのしのび笠、行過兼て笠やどり、ひぢ笠の雨に打そぼつ覧、みかさと申せ。蓮の葉の笠、いさぎよし。此笠は是艶ならず、美ならず。ひとへに山田守捨し案山子(カガシ)の、風に破られ、雨にいためるがごとし。笠のあるじも又、風雨を待て、情尽る而巳(ノミ)

 世にふるは更に宗祇のやどり哉  )