「雲折ゝ」ほか句文懐紙

【芭蕉自筆影印】
 終夜農陰晴心盡しなり遣れ者

 雲折ゝ人を休むる月夜可那

灵岸嶋に住介る人ミ多り 更(フケ)て我草能戸尓入来るを 案内する人に其名をとへ者 各ゝ七朗兵衛となん申侍る越 彼独酌乃興耳於もひよせて いさゝ可堂者婦禮登那し希り

 盃にミつ能名をのむこよひ可奈 

(終夜の陰晴心尽しなりければ

 雲折ゝ人を休むる月夜かな

霊岸嶋に住ける人みたり、更(フケ)て我草の戸に入来るを、案内する人に其名をとへば、各ゝ七朗兵衛となん申侍るを、彼独酌の興におもひよせて、いさゝかたはぶれとなしけり

 盃にみつの名をのむこよひかな
    (三人が七朗兵衛!)   )