「やどりせむ」ほか句文懐紙

【芭蕉自筆影印】
 ところゝゝゝみめくりて 洛(京都)尓暫く旅寝せし程 ミのゝ国よ梨多ひゝゝ消息あ梨て 桒門己百(サウモンキハク)のぬし みち志るへせ舞とて と婦らひ来侍亭

               
 志るへしてみせ者やミのゝ田植哥
               己百

 笠あら堂免舞不破の五月雨 者せ越

其草庵耳日頃有て

 やと梨せ無あ可さ能杖尓なる日まて

(ところゞゝゝみめぐりて、洛(京都)に暫く旅寝せし程、みのゝ国よりたびゝゝ消息ありて、桑門己百(サウモンキハク)のぬし、みちしるべせむとて、とぶらひ来侍て

               
 しるべしてみせばやみのゝ田植歌
               己百

 笠あらためむ不破の五月雨 はせを

其草庵に日頃有て

 やどりせむあかざの杖になる日まで)