「櫓声波を打て」ほか句文懐紙

【芭蕉自筆影印】

   泊船堂主

  窓含西嶺千秋雪
  門閑東海萬里船

我其句を職て 其心ヲ見寸 楚能侘を者可りて 其楽を志ら寸 唯老杜丹まさ禮る物盤 獨多病のミ 閑素

茅舍能芭蕉尓可く禮て 自乞食の翁とよふ

 櫓聲波を打て者ら王多氷る夜や涙 

 貧山の釜霜に鳴聲寒シ

    買水

 氷丹可く偃鼠(エンソ)可咽をうる保せり

    歳暮

 暮ゝ帝毛知を木玉能侘寐哉


(   泊船堂主

  窓含西嶺千秋雪
  門閑東海萬里船

我其句を識て、其心を見ず。その侘をはかりて、其楽をしらず。唯老杜にまされる物は、独多病のみ。 閑素

茅舍の芭蕉にかくれて、自乞食の翁とよぶ

 櫓声波を打てはらわた氷る夜や涙 

 貧山の釜霜に鳴声寒し

    買水

 氷にがく偃鼠(エンソ)が咽をうるほせり

    歳暮

 暮ゝてもちを木玉の侘寝哉  )













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