江戸・杉風宛書簡 伊勢山田

【芭蕉自筆影印】

木因舟ニ而送り 如行其外連衆舟尓乗りて 三里者可里 志多ひ候

 秋の暮行先ゝハ苫屋哉   木因

 萩耳袮よう可荻尓ねよう可 者世越

 雲晴ぬ暫ク岸耳立玉人   如行

 蛤の婦多みへ別行秋そ   愚句

   ニ見

 硯可と拾ふやく本き石の露

先如此(マズカクノゴトク)ニ候 以上
         者世越
  九月廿二日

( 

木因舟にて送り 如行其外連衆舟に乗りて 三里ばかり したひ候

 秋の暮行先ゝは苫屋哉   木因

 萩にねようか荻にねようか ばせを

 雲晴ぬ暫く岸に立玉人   如行

 蛤のふたみへ別行秋ぞ   愚句

   ニ見

 硯かと拾ふやくぼき石の露

先如此(マズカクノゴトク)に候 以上
         ばせを
  九月廿二日 




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