あつめ句 3.華

 【芭蕉自筆影印】

 花さ支て七日つるみ流布もと哉

 者なのくもか年ハうへの可あさく佐可

隣菴の僧宗波 多日尓おもむ可連希るを

 婦るす多ゝあ者礼なるへき隣可那

 保とゝ支すなくゝゝとふそいそ可ハし

 時鳥むつ支盤梅の花さ希梨

 ほ登ゝき数ま年く可麦能村お花

 さみ多連に鳰のう支巣を見尓ゆ可む

 髪者盈天容顔青しさ月雨

門人杉風 子夏の料とて 可多飛ら越調し送り遣るに

 いてや我よきぬのき堂利せみころ裳

 遊ふ可保尓米やすむ哀な利

 酔帝寝むなてしこ咲る石の上

すみ遣る人外尓可く連天 むくら生志希る古跡をとひて

 瓜作る君可あ礼な登夕すゝミ

く佐の戸保そに住王悲て あ支風の可那し希那る ゆふく連 友達の可多へ いひ徒可ハし侍る

 蓑蟲の音を聞尓こよくさのいほ

(花さきて七日つるみるふもと哉

 はなのくもかねはうへのかあさくさか

隣菴の僧宗波、たびにおもむかれけるを

 ふるすたゞあはれなるべき隣かな

 ほとゝぎすなくゝゝとぶぞいそがはし

 時鳥むつきは梅の花さけり

 ほとゝぎすまねくか麦の村お花

 さみだれに鳰のうき巣を見にゆかむ

 髪はえて容顔青しさ月雨

門人杉風、子夏の料とて、かたびらを調し送りけるに

 いでや我よきぬのきたりせみころも

 ゆふがおに米やすむ哀なり

 酔て寝むなでしこ咲る石の上

すみける人外にかくれて、むくら生しける古跡をとひて

 瓜作る君があれなと夕すゞみ

くさの戸ほそに住わひて、あき風のかなしけなるゆふぐれ、友達のかたへ、いひつかはし侍る

 蓑虫の音を聞尓こよくさのいほ  )