あつめ句 4.月

【芭蕉自筆影印】

 雲於利ゝゝ日と越やすめる月み閑難

 名月や池をめく利てよもす可ら

いさゝ可なる處耳多日堂ちて 不年のうちに一夜を明し天 暁の空 篷(トマ)よ利可しら指出て

 あ希遊くや二十七夜も三可乃月

 もの一我可よ盤可ろき飛佐こ哉

みちの保と利尓て 志く連耳あ悲て

 可さ裳那支我を志くるゝ可こハ何登

(雲おりゝゝひとをやすめる月みかな

 名月や池をめぐりてよもすがら

いさゝかなる処にたびたちて、ふねのうちに一夜を明して、暁の空、篷(トマ)よりかしら指出て

 あけゆくや二十七夜も三かの月

 もの一我がよはかろきひさご哉
 (物一我が世は軽き瓢(米びつ)哉)

みちのほとりにて、しぐれにあひて

 かさもなき我をしぐるゝかこは何と )