金沢・小春宛書簡 幻住庵

【芭蕉自筆影印】

何處持参之 芳簡落手 御無事之 旨 珍重ニ存候
類火之難 御の可れ候由 是又 御仕合難申尽(?)候
残生 い万多 漂泊やます 湖水能本と利丹夏をいとひ候
猶(ナオ) とち風丹身をま可すへき登 秋立比越待可計候
且 両御句珍重
中尓も せりう里の十銭 小界可ろき程 我可世間尓似多れ者 感慨不少(スクナカラズ)候 
口質 他丹越候間(アイダ) いよゝゝ風情可被懸御心(フゼイオココロニカケラルベク)候
           愚句
 京丹ても京なつ可しや本とゝ支須

暑気丹痛候而 及早筆候
 季夏廿日
小春雅文   者せ越 

何処持参の 芳簡落手 御無事の旨 珍重に存候
類火の難 御の可禮候由 是又 御仕合(オシアワセ)難申尽(?モウシツクシガタク)候
残生 いまだ 漂泊やまず 湖水のほとりに夏をいとひ候
猶(ナオ) とち風に身をまかすべきと 秋立比を待かけ候
且 両御句珍重
中にも せりうりの十銭 小界かろき程 我が世間に似たれば 感慨不少か(スクナカラズ)候
口質 他に越候間(アイダ) いよゝゝ風情可被懸御心(フゼイオココロニカケラルベク)候
           愚句
 京にても京なつかしやほとゝぎす

暑気に痛候て 及早筆候
 季夏廿日
小春雅文   ばせを       

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