京都・羽江宛書簡 義仲寺

【芭蕉自筆影印】

〈智月へ御ことつて 忝可られ候
志本らしき御心さし 可へ春ゝゝゝニて候
智月も〉

御文 こと尓こしあての王多

〈可无し入被申(イリモウサレ)候〉

みつ可ら御とゝのへおくり被下 御心さしと申 可連これ あさ可らさる御事 忝そ无し 万いらせ(?)候
菊尓こ楚 きせ作る折しもなる丹と

 初しもやきくひえそむる
         こしの王多
 (初霜や菊冷初る腰の綿)

や可ての本り候而 御礼御申 万いらせ(?)候 
さい(娘名)との おと那しく御奈り候ハんと そ无し 万いらせ(?)候
めて多たく可しく
  九月十二日

な越ゝゝすい不ん御そく才尓 御まちなされく多佐るへく候
           者せ越


〈智月へ御ことづて 忝がられ候
しほらしき御心ざし かへすゞゝゝにて候
智月も〉

御文 ことにこしあてのわた

〈かんじ入被申(イリモウサレ)候〉

みづから御とゝのへおくり被下 御心ざしと申 かれこれ あさからざる御事 忝ぞんじ まいらせ候
菊にこそ きせ作る折しもなるにと

 初しもやきくひえそむる
         こしのわた
 (初霜や菊冷初る腰の綿)

やがてのぼり候而 御礼御申まいらせ候
さい(娘名)どの おとなしく御なり候はんと ぞんじ  まいらせ候
めでたくかしく
  九月十二日
なをゝゝずいぶん御そく才に 御まちなされくださるべく候
           ばせを